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高松塚壁画「当分は古墳の外で」/奈良

飛鳥美人として知られる奈良県明日香村の高松塚古墳の国宝の壁画について、文化庁の検討会は、古墳から取り外して修復が進められている壁画を古墳に戻すと、再びカビなどによる被害を受けるとして「当分の間、古墳の外で保存管理し公開するのが適切だ」とする見解をまとめました。

7世紀末から8世紀初めに築かれた高松塚古墳では、今から40年余り前、石室から飛鳥美人として知られる「女子群像」や方角の守り神を描いた色鮮やかな壁画が見つかりましたが、カビなどの影響で傷みが進み7年前に古墳から取り出され、修復が行われています。
文化庁は、壁画を古墳から取り出すことを決めた際、「遺跡は現地で保存する」という原則に基づいて、「将来的にカビなどの影響を受けない環境を確保し、古墳に戻す」という方針を示し、専門家による検討会で修復後の壁画の扱いを協議してきました。
その結果、「壁画は古墳に戻すことが望ましいが、今の技術では再びカビなどによる被害を受ける」として、「当分の間、古墳の外の適切な場所で保存管理し、公開するのが適切だ」という見解をまとめました。
検討会は、この見解を文化庁の青柳正規長官に報告するとともに、保存・公開の方法について引き続き協議することにしています。

【平成17年には「古墳に戻す」方針】
高松塚古墳の保存・管理を巡っては、文化庁は平成17年に「修理を終えたあと、壁画は、将来的にはかびなどの影響を受けない環境を確保したうえで古墳に戻す」という方針を定めています。
27日の文化庁の検討会では、これを踏まえたうえで、今後の保存・管理の在り方について、「現在の科学的・技術的水準では壁画・石室に安全な環境を作って、古墳に戻すことは困難である」としました。
これについて、文化庁の江崎典宏古墳壁画室長は「検討会での議論によって、今後の課題が明らかになったので、調査研究を進めるなどして、引き続き、壁画の保存や活用について、検討を進めたい」と話しています。
そのうえで、壁画を古墳に戻す時期については、「現状では、いつ、戻せるかは分からない」としています。

【「今後も戻す努力を」】
検討会の座長を務める政策研究大学院大学の永井順國客員教授は「今回の結論は遺跡の現地保存という原則を変えていない。『当分の間』ということで文化庁は今後も戻すよう努力してほしい」と述べました。
また、壁画の公開については「検討会の新しい委員が議論することになるが、広く一般に公開できるような施設を作ってもらいたい」と述べました。
壁画の取り外しが決まった際、文化庁の検討会の委員を務めていた奈良県香芝市にある「二上山博物館」の松田真一館長は「今すぐに壁画を古墳に戻せとは言えないが、文化庁は、戻すための研究を早く進めるべきで納得できない。このまま研究が進まなければ、将来、同じような貴重な壁画が見つかっても、同じ過ちを繰り返してしまう」と話しています。

【明日香村村長「結論は妥当」】
検討会の委員で高松塚古墳がある奈良県明日香村の森川裕一村長は「結論は妥当だ。壁画を公開することになるが、そのための施設は、古墳と一体で見てもらえるよう村内に作ってもらいたい」と話していました。

【壁画はどうなる】
壁画が取り出されたあとの高松塚古墳は、石室があった部分が埋め戻され、外観はかつての姿に復元されています。
壁画は、古墳の北西およそ600メートルの場所に設けられた施設に保管され、修復が行われています。
この施設では、同じ奈良県明日香村のキトラ古墳で発見され、当面、石室の外で保存されることが決まった壁画の修復も行われています。
文化庁の検討会は今後、高松塚古墳の壁画を古墳がある明日香村で保存・公開することを含め、どのような施設が必要か検討することにしています。

記事のページ:
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140327/k10013291611000.html