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世界文化遺産候補なるか百舌鳥・古市古墳群 25日に文化審議会特別委 文化庁「横一線」

平成30年の世界文化遺産登録の国内候補として推薦する1件を決める文化審議会の特別委員会が25日、東京で開かれることが決まった。審議されるのは、大阪府内初の世界遺産を目指し25年、昨年に続く3回目の挑戦となる「百舌鳥(もず)・古市古墳群」(堺市、藤井寺市、羽曳野市)を含め4件。府や地元3市は「三度目の正直」に期待をかけるが、4件とも過去の審議会で指摘された課題を克服したとしており、文化庁の担当者は「横一線」と話す。(張英壽)

●課題クリア
古墳群は22年に、世界文化遺産登録の前提となる国連教育科学文化機関(ユネスコ)の暫定一覧表に掲載され、23年に登録を目指し、府と地元3市が登録推進本部会議を設置。25年に文化庁に推薦書原案を出したが、落選した。

登録推進本部会議は翌26年は準備に費やし、昨年3月に再度文化庁に推薦書原案を提出。同年7月の文化審議会では、古墳群など4件が審議対象となったが、29年の登録を目指す国内候補として、「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」(福岡県)が選ばれた。

古墳群は間近まで住宅やビルなどが建っていることが課題だった。昨年の文化審議会では、古墳群を保護する「緩衝地帯の保全」について明確な説明を求められた。このため、堺、羽曳野、藤井寺の3市は今年1月から、古墳周辺で新たにつくる建築物について高さを31メートル以下(住宅地)とする規制を開始。合わせて外観も原色など派手な色彩を禁じた。

堺市世界文化遺産推進室によると、文化審議会からの課題は、個別資産の説明をより詳しくすることや、来訪者の管理など計5項目あったが、いずれも解決したとしている。

また昨年は61の古墳で構成されていたが、線路沿いや高速道路高架下の2古墳を外した。文化庁への推薦書原案は昨年日本語のみで書かれていたが、今年は英語、日本語の両方で提出。日本独特の古墳を理解してもらうため、「Kofun」(コフン)とあえて発音のままにする表記も取り入れた。

「やれるだけのことはやった」

同推進室の宮前誠室長はそう強調する。

●3候補も「克服」
一方、今回文化審議会で審議対象となるほかの3件は、「北海道・北東北を中心とした縄文遺跡群」(北海道、青森、岩手、秋田各県)▽「金を中心とする佐渡鉱山の遺産群」(新潟県)▽「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」(長崎、熊本両県)。長崎の教会群以外は、昨年の文化審議会当時と同じ審議対象だ。

文化審議会から、縄文遺跡群は9項目、佐渡鉱山の遺産群は4項目にわたる課題を与えられたが、担当者はいずれも克服したとしている。

長崎の教会群はキリスト教弾圧の歴史を伝えるが、26年に国内推薦に選ばれ、今年の登録を目指すはずだったが、ユネスコの諮問機関の国際記念物遺跡会議(イコモス)から資産の見直しを求められ、政府が推薦を取り下げ。文化庁に新たに推薦書素案を出し、禁教期との関連を示す証拠がないとされた2資産を外した。長崎県の担当者は「審議会からかつて求められた課題は克服ずみ。イコモスからの指摘もクリアした」としている。

●市民の会8000人突破
古墳群の国内推薦を目指し、地元大阪では、機運が高まっている。

昨年6月に設立された「百舌鳥・古市古墳群の世界遺産登録を応援する堺市民の会」の会員は今月15日に8千人を突破。4月には超党派の国会議員らが文化長長官に登録実現に向け要望し、今月19日には竹山修身堺市長と北側一雄衆院議員らが菅義偉官房長官に登録実現を要望した。

推薦書原案に記された古墳群の59古墳のうち、宮内庁が管理する陵墓は34基。陵墓は調査が進んでおらず、立ち入りも制限されているが、堺市の担当者は「陵墓は周辺の調査はされており、大きさや築造の年代など基礎的な情報は得ている。また外からでも十分観賞できる」としている。

【百舌鳥・古市古墳群】 堺市中心部の百舌鳥古墳群と、羽曳野、藤井寺両市に広がる古市古墳群の総称。4~6世紀の大小計89の古墳からなるが、今年3月に文化庁に提出した推薦書原案では、古墳が大型化した4世紀後半~5世紀後半に築造された59の古墳で構成。中でも、仁徳天皇陵(全長486メートル)や応神天皇陵(同425メートル)はエジプトのクフ王のピラミッドや中国の秦始皇陵と並ぶ「世界最大級の王墓」と位置づけている。全長200メートルを超える前方後円墳は全国に約40基あるが、11基が立地。

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http://www.sankei.com/west/news/160720/wst1607200029-n4.html