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倉敷で古墳時代後期の製塩炉出土 前田遺跡、県内初の敷石構造か/岡山

岡山県古代吉備文化財センターが発掘調査を進めている前田遺跡(倉敷市船穂町船穂)で1日までに、古墳時代後期(6世紀ごろ)の敷石構造の製塩炉が出土した。敷石の製塩炉は畿内から備讃地域に伝わったとされ、県内で炉の全体が確認できたのは初めてとみられる。

出土した製塩炉は、地面を浅く掘った長方形(長辺2メートル、短辺1・2メートル)。直径5センチ前後の小石を敷き詰め、石の表面には粘土が付着し、その上に多数の製塩土器片を含んだ炭の層が堆積していた。

調査を担当している同センターの沢山孝之総括副参事によると、前田遺跡一帯は当時海岸線近くにあり、敷石は地面の湿気を遮断し、熱効率を高めるために使われた。粘土で隙間を埋めた敷石の上に、製塩土器と燃料のまきを置き、濃縮した海水を土器に入れて蒸発させ、塩を採取していたとみられる。

炉の周囲には、塩の採取後に割れた土器片を投棄したごみ穴(直径約1~2メートル)が4カ所で確認された。同時代、同構造の炉の一部らしき遺構も見つかった。一帯に住居跡はなく、専門の製塩施設だった可能性がある。

船穂町地区は古代に船穂郷と呼ばれ、奈良時代に朝廷への税の一つ「調」として塩を納めていたことが平城京跡(奈良市)から出土した木簡に記されている。沢山総括副参事は「奈良時代以前から、製塩を専門とする職能集団が前田遺跡を拠点に活動していたことが分かる」としている。

古代の製塩に詳しい大久保徹也・徳島文理大教授(考古学)によると、敷石の製塩炉は古墳時代中期に大阪湾岸などの畿内周辺で確立され、大和政権の影響下で後期に地方へ伝えられた技術。備讃地域では、香川県直島町の喜兵衛島で6、7世紀の炉が10基近く出土し、岡山県内は沖須賀遺跡(玉野市)と鹿久居千軒遺跡(備前市)で炉の一部が確認されている。

前田遺跡の炉について大久保教授は「敷き詰めた石の大きさや並べ方など、畿内周辺で出土した炉と明らかな共通点が見られる。当時の吉備と大和との関係を考える上でも重要な手掛かりとなる」とみている。

前田遺跡の発掘調査は、県道改築工事に伴い8月末まで行われる。

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