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世界遺産目指す百舌鳥・古市古墳群に5つの課題、文化庁が「世界の人がわかる説明を」と注文/大阪

国の文化審議会特別委員会(7月25日開催)で、平成30年の世界文化遺産登録を目指す国内候補から惜しくももれた「百舌鳥(もず)・古市古墳群」(堺市、藤井寺市、羽曳野市)。文化庁から、古墳の大きさや形で示した階層性(社会的地位)の分かりやすい説明など5項目の課題が示された。4度目の世界文化遺産候補挑戦となる来年に向け、府と3市でつくる登録推進本部会議は課題の検討に入った。

文化庁から示されたのは、今年3月に同庁に提出した推薦書原案に対する課題で、修正を求められたことになる。

課題では、世界遺産登録に必要な「顕著な普遍的価値」をめぐりまず2つの注文があった。「階層性が示す『顕著な普遍的価値』の合理性の検討」と「構成資産がどう『顕著な普遍的価値』に貢献しているか」だ。

推薦書原案では、古墳群が前方後円墳や円墳、方墳という多様な形、また全長400メートル以上から20メートル程度までさまざまな大きさがあることから、形や大きさで5つに分けた社会的な階層と、古墳の巨大さを「顕著な普遍的価値」とした。

課題では抽象的な表現が多く用いられているが、堺市世界文化遺産推進室の宮前誠室長は「日本だけではなく、世界の人にわかってもらえる『顕著な普遍的価値』の説明が求められている」という。このため、現在59の古墳で構成する資産の数を再検討し、説明をより明確にすることもありうるという。特別委では、階層性の説明が分かりにくいとして、巨大さに絞ったほうがいいとする声も出た。

3つ目は、「古墳時代の文化の特質について東アジア文化史の観点から十分に説明する」ことが要請された。残り2つは、「墳丘上の植生の管理方法に関する調査、管理方針を明確化する」ことと、「2つの古墳群間の移動について実効性を持った計画とする」ことなどが盛り込まれた。

このうち、墳丘上の植生については、宮内庁管理の陵墓34基を含め59の古墳にどんな木が生えているか詳しくは分かっていない。管理するためには、陵墓調査ができる宮内庁との協議が必要になる。

距離的に離れた2古墳群の移動は現在、直通バス便はなく、鉄道を乗り継ぐしかない。バス実現には、民間バスとの調整や採算性をクリアする必要がある。

宮前室長は「昨年指摘された課題に比べ今回は『深堀りした』感じで、対応しやすい。ただ『顕著な普遍的価値』に対する説明は考え方を見直さなければならない」と話す。

登録推進本部会議は有識者らによる委員会を今月19日に開催し推薦書原案の修正検討に入った。10月には海外専門家を交えた国際専門家会議を予定している。

【百舌鳥・古市古墳群】 堺市中心部の百舌鳥古墳群44基と、羽曳野、藤井寺両市に広がる古市古墳群45基の総称。4~6世紀の大小の古墳からなるが、今年3月に文化庁に提出した世界文化遺産の推薦書原案では、4世紀後半~5世紀後半に築造された59の古墳で構成。仁徳天皇陵古墳(全長486メートル)や応神天皇陵古墳(同425メートル)、履中天皇陵古墳(同365メートル)などがある。

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http://www.sankei.com/west/news/160821/wst1608210030-n1.html