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【日本の源流を訪ねて】塚原古墳群・石之室古墳/熊本

■「装飾古墳」、地震で石棺崩壊

一連の熊本地震によって古墳も大きな被害を受けた。特に熊本県は、石室の壁や石棺に浮き彫りや彩色を施した「装飾古墳」が集中する。その一つ、熊本市南区城南町にある国指定史跡、塚原古墳群の「石之室(いしのむろ)古墳」も、激しい揺れで石棺が壊れた。

塚原古墳群は昭和47年、九州道建設工事に伴い、発掘調査が実施された。方形周溝墓や円墳、前方後円墳など約500基が見つかった。保存の機運が高まり、高速道路を遺跡の下にトンネルで通すことで決着した。51年に国史跡に指定され、77基の古墳を復元し、四季の花が咲く塚原古墳公園として整備された。

古墳群内にある石之室古墳は直径31メートルの円墳だ。石棺の蓋石が屋根の形をし、まるで現代の家のようにみえる。石棺の奥には線刻模様が描かれている。6世紀初頭に築かれたとみられる。

この古墳が地震の被害を受けた。外側の墳丘は問題ないが、家形石棺が崩壊したという。

調査に当たった熊本県立装飾古墳館(山鹿市)の坂口圭太郎学芸課長(52)は「強い地震の揺れで、ひびが広がって割れてしまったのだろう。石棺が動かせないだけに、修復は難しくなりそうだ」と語った。

このほかの古墳も、墳丘にブルーシートが張られたり、解説板が崩落したり、と地震の爪痕は色濃い。

全国には660基の装飾古墳がある。このうち3割に当たる195基が熊本県に集中する。その数は日本一だ。

県教委文化課によると、熊本地震で指定文化財では県内にある35基の古墳が被災した。このうち15基が、国史跡を含む装飾古墳だった。

坂口氏は「限られた予算の中で、国や県指定以外の文化財も含め、修復をどう進めるかなど、多くの課題がある。しかし、これを機に、より良い状態で公開できるような修復も検討すべきだ」と訴えた。

県教委と文化庁は今後、共同で委員会を設立し、修復方法を検討する方針だ。装飾古墳は美術史の観点からも注目されるだけに、著しい環境変化による劣化は防がなければならない。数千年の歴史を持つ「熊本の宝」を守る取り組みが続く。

■塚原古墳群 所在地は熊本市南区城南町塚原1234。JR宇土駅から車で30分、熊本バス鰐瀬・上郷方面行き「塚原」バス停下車徒歩3分。駐車場は普通車50台、大型バス3台収容可。塚原古墳公園内にある熊本市塚原歴史民俗資料館は休館中、再開時期は未定。

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http://www.sankei.com/region/news/161025/rgn1610250011-n1.html