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世界遺産へ向けた樹木伐採で〝タヌキの住む古墳〟の主たちはどうなる? 堺市/大阪

世界文化遺産登録に向け国内推薦が決まった「百舌鳥(もず)・古市古墳群」のひとつでタヌキのすむ古墳として知られる「いたすけ古墳」(堺市北区)で、市によって古墳の外観などを守るための樹木伐採が計画されている。愛らしいタヌキたちを一目見ようと、わざわざ訪れる人も多い人気スポットだけに、工事の影響で、タヌキたちの生活が脅かされるのではないかという懸念も浮上している。

市によると、タヌキがすみ着くようになったのは、約20年前の平成10年ごろ。古墳の堀にある壊れた橋げたに、何匹ものタヌキがちょこんと座り、かわいらしい姿をみせるのが人気だ。フェンスには「静かにタヌキを見守ってください」との張り紙もある。

古墳をはじめ地元の観光ガイドなどに取り組むNPO法人「堺観光ボランティア協会」の柿澤和代さん(69)は「住宅地のど真ん中で日中にこれだけのタヌキが見られるのは珍しいと思う。舞台上でタヌキがそろいぶみしているような姿が愛らしく、余計に人気なのだろう」と話す。

古墳には、これまでは管理を行っている市職員も立ち入ることはほとんどなかった。

しかし、古墳の樹木が成長しすぎると古墳の外観が分かりにくくなるうえ、倒木や伸びた根などによって、古墳が破壊される危険があるとして、市は今年度、樹木伐採に乗り出すことを決め、今秋ごろから本格工事を始める。

世界文化遺産登録へ向け、来年にはユネスコ世界遺産委員会の諮問機関「イコモス」の現地視察も控えていることもあり、市文化財課の担当者は「木を切って古墳の輪郭をはっきりさせ、プラスの評価につなげたい」という。

市は「タヌキを保護も捕獲もする予定はない」としているが、公立鳥取環境大学環境学部長の小林朋道教授(動物行動学)は「タヌキは警戒心があるので、伐採などで人が出入りする中で逃げる可能性もある」と指摘。タヌキへの影響も否定できない。

地域の人気者として定着しているだけに、竹山修身市長は「せっかくすみ着いているのだから、タヌキと共存共栄できるように整備していきたい」と話している。

いたすけ古墳 5世紀前半に築造されたとみられる前方後円墳で、墳丘長は146メートル。被葬者は不明。昭和30年には古墳を削って住宅地をつくる計画が浮上し、古墳の土を運び出すための橋までつくられたが、保存運動で中止となり、同31年に国史跡に指定された。今もそのときの橋が壊れたまま残り、タヌキの「ひなたぼっこスポット」となっている。

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http://www.sankei.com/west/news/170809/wst1708090062-n1.html