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箸墓古墳 吉備産土器が出土 砂を分析、ヤマト王権で役割 橿考研/奈良

定型化した最古の大型前方後円墳で卑弥呼の墓との説もある箸墓(はしはか)古墳(奈良県桜井市、3世紀中ごろ~後半)の後円部から出土した葬送儀礼用の土器「特殊器台」と「特殊壺(つぼ)」が、岡山・吉備地方から完成品として持ち込まれた可能性が高いことが、奈良県立橿原考古学研究所(橿考研)の研究者の分析で分かった。土器表面の土と岡山県総社市周辺の土の特徴が酷似するという。

葬送儀礼に特殊器台・壺を用いる吉備地方の大きな勢力が、箸墓古墳の造営に重要な役割を果たしたことを示す研究成果で、宮内庁が今月公表した書陵部紀要第69号(陵墓篇)に掲載された。

特殊器台は埴輪(はにわ)の祖型とされる土管状土器で、円や扇形の透かし穴がある。地面に立て、赤色顔料などで装飾した特殊壺を載せる。弥生時代後期後半以降に吉備地方で生まれ、西殿塚や中山大塚(いずれも奈良県天理市)など3世紀後半の大古墳にも採用。吉備の影響がうかがえるが、箸墓の器台・壺は地元製なのか、吉備から持ち込まれたのかは不明だった。

橿考研の奥田尚・特別指導研究員は、埋葬施設があったとされる後円部の頂上付近で出た器台と壺の破片計54点について、表面の土に含まれる砂を顕微鏡で分析。総社、岡山両市に広がる一部地域の土と酷似し、吉備で多く出土した器台・壺の土と構成も似ており「吉備製を重要部分の後円部に並べた」と結論づけた。前方部から出土した土器は地元産だった。

奈良盆地との中継点にある東郷遺跡(大阪府八尾市)でも特殊器台の破片が出土。奥田研究員は「完成品を旧大和川伝いに箸墓へ運んだのでは」とみる。

桜井市纒向(まきむく)学研究センターの寺澤薫所長は「吉備で作った物を当時最大の古墳に置くことにこだわったのかもしれない。初期のヤマト王権で吉備勢力が重要な地位を占めていたことを示す証拠だ」と話す。

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https://mainichi.jp/articles/20180430/ddn/041/040/004000c