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ふくおか探索 アサヒ博多 6世紀に造営「東光寺剣塚古墳」 古墳がビール工場敷地内に 福岡市内最大規模の前方後円墳/福岡

工場敷地内に前方後円墳--。ビール工場の敷地内に古墳があると聞き、その意外性に驚いた。一体どんな所なのか。古墳は6世紀中ごろに造営された「東光寺剣塚古墳」。福岡市内では最大規模の前方後円墳だ。興味が湧いたので、駅前の住宅街の中にある工場を訪れると、古墳の周りはうっそうとした木々に囲まれ、神秘的な雰囲気に包まれていた。

JR博多駅から1駅先の竹下駅で降り、少し歩くとアサヒビール博多工場(福岡市博多区)は見えてくる。古墳を見るには工場の正面ではなく、回り込んだ車両門から入らなければならない。守衛の男性に「古墳の見学です」と伝え、名前と電話番号を記入すると、古墳の概要を記したA4判の紙1枚と、可愛い埴輪(はにわ)の絵をあしらった許可証を渡された。

通用口から入るとすぐ左に森があり、その中に古墳は静かに横たわる。木々に覆われているため、古墳の全体像を見渡すことはできない。木漏れ日を受けながら歩いていると、自然豊かな郊外にいるような錯覚を起こす。うっそうと茂る森の中を順路に沿って進むと、石室の入り口にたどり着いた。

東光寺剣塚古墳は那珂川右岸の標高10メートルの台地に築かれ、当時の地域の首長が埋葬されたという。観音山古墳とも呼ばれ、黒田藩に仕えた江戸時代の儒学者、貝原益軒の「筑前国続風土記」に「剣塚」との記載が残る。

アサヒビールの前身、大日本麦酒が大正時代末期に工場用地として、古墳を含めた土地を確保したが、工場ができた後も古墳は保存され、市教委は1988、89年に発掘調査を実施した。

古墳全体の長さは推定126メートル。古墳周囲の堀に当たる「周濠(しゅうごう)」は3重で、現在は一番内側の周濠がその跡を残す。また、古墳から人や馬をかたどった形象埴輪(はにわ)の他、副葬品である刀、鎌、勾玉(まがたま)などが出土している。

石室前を通り、順路に沿って歩くと元の道に戻る。10分程度で見て回れるコースだ。博多工場によると、年間約60人の見学者が訪れるという。近くには福岡平野の前方後円墳で最も古い「那珂八幡古墳」もあり、併せて見学して帰路につくと、心穏やかな気持ちで歴史を垣間見れた満足感に浸った。

見学は安全面の問題などから学術目的などに限っているといい、事前相談が必要。問い合わせは同工場(電話092・431・1131)。

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