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【平成の記憶】導入されたばかりのデジカメでとらえたキトラ古墳 代表取材の緊張感の中、トラブルが…/奈良

平成10年3月、奈良県明日香村にあるキトラ古墳の第2次内部調査が行われ、数々の貴重な壁画が発見された。

キトラ古墳は7世紀末~8世紀初頭に作られたとされる。飛鳥美人で知られる西壁女子群像のある高松塚古墳に続く二つ目の大陸風壁画古墳で、墳丘中央の石室には、四神や十二支、天文図などが描かれる。四神は天の四方を司る神獣で、東に青龍、南に朱雀、西に白虎、北に玄武がある。壁画が最初に発見されたのは昭和58年。ファイバースコープを使った1次調査で、玄武の彩色壁画が発見され、話題を呼んだ。

玄武の発見から15年後となる2次調査の初日、入社10年目の私は、代表取材のカメラマンとして、作業の進展をファインダー越しに見守っていた。

撮影には使い慣れたフィルムカメラではなく、導入されたばかりのデジタルカメラを使用した。初期のデジカメは、まだプロ専用で、価格が高いうえに画質もフィルムに劣り、操作性も良くなかった。今は当たり前の背面の液晶モニターもなく、撮影した画像はパソコンでの確認が必要。

本当ならフィルムを使いたかったが、この日は代表取材という大役で、締め切りに間に合わせるためにはデジカメの使用が必須だった。

代表取材は、取材スペースが狭い場合や、現場の混乱が予想されるときに、マスコミ各社から代表のカメラマンが撮影を行い、各社へ写真を配信する取材方法。撮影の失敗は許されず、迅速な配信が要求されるという、責任の重い取材のひとつ。

ところが作業中に、古墳内部を撮影する小型カメラが故障、調査がストップするというトラブルが発生。各社が待ち受ける中、石室内部の写真はあきらめて、準備風景の写真を、現場近くのプレスルームで待機する各社へ手渡した。

翌日の探査では、小型カメラは順調に作動、壁面に描かれた玄武、青龍、白虎のほか天文図などの貴重な映像を確認、配信することができた。

その後、平成13年の3次調査の朱雀図、続く4次調査で十二支など重要な発見が相次いだ。しかし、調査が進むにつれて、剥落の危険やカビなどが見つかり、16年から22年にかけて全壁画を取り外して修理、保存する作業が行われた。

数々の発見で、キトラ古墳の重要性は深く認識され、たくさんの考古学ファンが古代のロマンを求めて詰めかけた。25年には古墳周辺の整備が行われ、墳丘を築造時の二段築成の円墳に復元し、壁画の保存と管理を行う「四神の館」も設置された。駐車場や展望台も整備され見学者がゆっくりと過ごすことができるようになった。

十数年ぶりに訪れたキトラ古墳は、さまざまな探査、発掘作業を経て、すっかりと景観は変わってもいた。夜になり静寂に包まれたキトラ古墳はひっそりとたたずみ、頭上には満天の星々が悠久の時の流れの中で輝き続けていた。

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