最新古墳にコーフンニュース

ニュース

古墳群の世界遺産めざす堺、ボランティアが英・中・韓3カ国語でおもてなし「片言でもホッとしてほしい」/大阪

世界文化遺産登録を目指している大阪府の百舌鳥・古市(もず・ふるいち)古墳群に訪日外国人客を集めようと、仁徳天皇陵古墳など百舌鳥古墳群がある堺市で、ボランティアガイドたちが奮闘している。関西国際空港から近い立地条件の良さもあり、市内のホテルの宿泊者数は増加傾向だが、堺の認知度が低いのが課題。大阪北部地震や台風21号などの災害の影響も懸念されるが、英語や中国語、韓国語などを学ぶ地元のボランティアたちは「少しでも堺にいい印象を持ってもらい、多くの人に訪れてほしい」と話している。

「仁徳天皇陵古墳にようこそいらっしゃいました。私は観光ボランティア協会の会員です」

6月初旬、堺市堺区の国際交流プラザの一室で行われた韓国語同好会。講師の梁恵順(ヤン・ヘスン)さん(66)が韓国語の文章を読むと、受講生のボランティア協会員ら5人が繰り返して読み上げた。

授業は約2時間。教室は月に1度で、受講生はみな初心者で、梁さんは「片言でも、母国語で話しかけることでほっとしてもらいたい。おもてなしの心を大事にしています」と話した。

受講生の寺口務さん(72)は「写真を撮るとき、韓国語でかけ声をいうと、すごく喜ばれる。堺にいい印象を持って帰ってもらえれば」と笑顔を見せた。

市や堺観光ボランティア協会によると、数年前まで同市を訪れる外国人観光客は少なかったが、関西国際空港と大阪市中心部の間という立地の良さから市内のホテルに宿泊する外国人の宿泊者数が年々増え、平成29年度は前年度比21・7%増の24万115人を記録した。

だが、「団体客が多く、宿泊のみで市内を観光しない人が多い」と市の担当者は話す。

仁徳天皇陵古墳近くにある堺市博物館の外国人入館者数は年々増加し、29年度には2560人だが、宿泊者数の約1%にとどまっている。

市と協会は月1回程度会議を開き、意見交換しているといい、市の担当者は「ボランティアの方の存在は力強い。観光客誘致のために何ができるかを考え、ともに盛り上げていきたい」と話す。

協会には、約240人のガイドがいるが、外国人に対応できるガイドはわずか20人程度だ。ボランティアらは、仁徳天皇陵古墳など市内10カ所以上に常駐し、観光客へ声かけしたり、各言語に対応したタブレット端末を使うなどして観光案内をしている。

韓国から友人と大阪に旅行に来たというパク・ソヨンさん(29)は「ボランティアに韓国語であいさつしてもらい温かい気持ちになった」と話していた。

来年、堺市は世界文化遺産の登録を目指しており、ボランティアらの期待も高まっている。協会の福井洋子さん(70)は「古墳群が世界文化遺産登録されれば、多くの人に来てもらえる。精いっぱいのおもてなしをしたい」と話していた。

白川郷・姫路城は外国客対応充実

世界文化遺産のある国内の自治体では、訪日外国人を取り込もうと、さまざまな取り組みを進めている。

岐阜県白川村の白川郷は、平成29年に訪れた外国人観光客が約65万人に上るなど海外人気が高い。海外のメディアや旅行会社を招くなど、プロモーションに力を入れ、昨年は、15カ国の旅行博に約50回出展したほか、台湾や香港など18カ国・地域のメディアや旅行会社を同県に招き、現地のメディアやツアーに取り上げてもらった。

観光案内所にも、英語、中国語、仏語、タイ語などのパンフレットを置いているほか、今年1、2月には、筑波大の中国と台湾の留学生計13人が、観光案内所などで通訳ボランティアを行ったという。

27年のリニューアル後、外国人観光客が急増し、28年には過去最多の約36万5千人を記録した兵庫県姫路市の姫路城も外国語対応は充実している。

英語対応のボランティアガイドがいるほか、20カ国語のパンフレットを用意し、AR(拡張現実)技術を利用したスマートフォン用アプリで、現存しない建物や城内の仕組みを説明する再現映像を英語で見ることができる。

このほか、姫路城近くで着付けや忍者体験ができる施設も。市の担当者は「市の滞在時間を長くしてもらうために、城周辺にも外国人が楽しめる施設をつくるなどして、効果を実感している」と話している。

記事のページ:
https://www.sankei.com/west/news/180926/wst1809260059-n3.html