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「古墳女子」と自転車ツアー うきは市、隠れた魅力を再発見 前方後円墳など4基回る/福岡

フルーツやスイーツのまちとして魅力を発信中のうきは市。これとは別に、女性を中心に人気を集めており、さらにお勧めの“隠し球”があるとか。それは約1500年前に築かれた古墳の数々。国史跡に指定された全国の装飾古墳73基のうち7基(約1割)が市内にあり、一部は内部も見学できる。埴輪(はにわ)や古墳を愛する今どきの「古墳女子」と一緒に電動自転車で巡った。

参加したのは、市の観光拠点施設「ウキハコ」が企画した「うきチャリ古墳ツアー」。筑後川と耳納連山に挟まれた浮羽地域では古くから人が暮らし、久留米市田主丸地区を含め大小約400基の古墳が確認されている。ツアーでは吉井町の観光会館「土蔵」を拠点に月岡(つきのおか)、日岡(ひのおか)、塚堂(つかんどう)、珍敷塚(めずらしづか)の4古墳を巡る。

「最大の見どころは『日本の原始美術の祖』とも言える装飾壁画。そして古墳がたどった歴史と運命にも思いをはせてもらいます」

冒頭に主催者を代表して稗田雅矢さん(39)があいさつした。本業は司会とイベント企画ながら、九州国立博物館が2015年に発足させた「きゅ-はく女子考古部」初代部長も務めた根っからの「古墳女子」だ。参加者を見ても8人中6人と女子率はかなり高い。

参加証としてうきは市の公式キャラクター「うきぴー」をあしらった缶バッジを渡された。柿の妖精だったはずなのに、弥生人のような髪形になぜかサングラス姿で「マジやべえ古墳あるぜ」との文字が。遊び心あふれたデザインと非売品という珍しさも、女子に響くポイントなのだろう。

出発すると参加者はみんな「マニアモード」に突入。鉄冑(かぶと)などの国重要文化財が出土した月岡古墳では、石棺を納めた建物の隙間から自前のライトを照らして内部をのぞき、土地の凹凸が分かる「赤色立体地図」と比べながら古墳を囲む周濠(しゅうごう)の確認にも余念がない。

高校の歴史教科書でも紹介されるという日岡、珍敷塚古墳では、装飾壁画にくぎ付け。ワラビの若芽に似た「蕨(わらび)手文」や月に住む動物とされる蟾蜍(せんじょ)(ヒキガエル)、弓を入れる道具「靭(ゆぎ)」が赤や青、緑で勢いよく描かれ、「古代のうきはに岡本太郎がいた」と歓声が上がる。余りに名残惜しいのか、退室の際に「埋葬されたーい」という声が上がるほど。

ガイドを務めた市教育委員会文化財保護係の生野里美さん(32)が「ぜひ紹介したかった」というのが塚堂古墳。全長70メートルに及ぶ前方後円墳で石室が2カ所あり、後円部に当時の有力者、前方部に片腕だった人物が埋葬されたとみられている。

全員で上ってみると後円部は半分以上えぐられており、目の前には高さ約5メートルの崖。1953年の筑後川大水害で近くの堤防が壊れ、補修に大量の土が使われたという。「後世の人のためにお墓の土を取られるなんて。でも統治者としては本望かも知れず、この『きゅーん』とする気持ちを共有したかった」と生野さん。案内する側からも熱い思いは伝わってきた。

ツアーは約6時間。埴輪の人形やピアスなど古墳グッズをそろえた雑貨店や耳納山麓のカフェにも立ち寄り、どの参加者からも満足感が伝わってきた。これまで圧倒的に男性が多く、硬派な印象が強かった歴史や考古学分野の取材だが、どう味わうかは受け手次第。今に通じるかわいらしさや被葬者のドラマに一喜一憂することも新たな魅力なのだと感じた。

日岡、珍敷塚古墳は毎月第3土曜に事前予約者(5日前まで)に内部を公開する。ウキハコと土蔵で貸し出す電動アシスト付き自転車も快適だ。穏やかな季節を迎え、うきはの古墳巡りをぜひ楽しんでほしい。吉井歴史民俗資料館=0943(75)3120。

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