第一会員イチキ游子の古墳に混乱コラム

第十五回「年末回想手作業考」

投稿日:2014年12月23日

なんだかんだと、今年もお世話になりマシタ。

古墳ノンポリのあたくしが、誰に頼まれたわけでもなく古墳にコーフン協会の第一会員になって結構たった。
古墳への愛に狂い、その姿に燃えて萌えて悶える会長はじめ会員の方々には、いつも癒しと感動と、そして生あたたかい苦笑を提供してもらっている。

みなシャン…イツモ…大きな…オセワに…なてマス。

親愛の情を込めて、そろそろあたくしもなにか協会のために出来ることはないか…。そんな殊勝なことまで考えるようになったこの頃。だがしかし、基本的に「コーフンする人にコーフンする」という、受動生命体であるノンポリ会員のあたくしには、こちらから彼らに提供出来るものが思い当たらない。

しかしそんなある日、あたくしにチャンスが訪れた。
協会があちこちの古墳イベントなどでブースを出すようになったため、その物販のための古墳グッズの募集を始めたのである。

古墳グッズとは、古墳愛をこじらせた手先の器用なツワモノ達が、持てる技全てを使って様々な形で古墳を模した珠玉の作品群のことである。タチハナ会員の古墳マグネット。理事長の消しゴムはんこ。ヤミラさんの古墳ドーナツ。えせとてらえせとてら。いずれも無双のクオリティを誇る古墳グッズである。

第十五回「年末回想手作業考」

よしこれだ、あたくしもさっそく何かすばらしい古墳グッズをつくるのだ!

…だけども 不器用でちっぽけな僕に いったい何ができるだろう ラララララ イエー

歌いながら考えているうちふと、10年程前「編み物」にどハマりした時期があったことを思い出した。そうだ、編み物だ。毛糸でなにか、そうだ、コースター的なものを作ろう!
さっそく毛糸を買ってくると、取り急ぎ最もキャッチーな前方後円墳型を目指してコースターを編み始めた。
久々の編み物。昔取った杵柄だ。そう言えば昔バイト先で、過去の栄光ばかり自慢するから「キネヅカさん」というあだ名がついた先輩がいたな。そんなことを思いながら無心になってかぎ針を動かし続けた。

そして試行錯誤の結果、前方後円墳型のコースター第1号が完成した。

第十五回「年末回想手作業考」

あ、可愛い。思ったより良い出来だ。…しかし、だ。
これは、コースターなのか?丸と四角のどっちにコップ置くんだ?つーか、コースターにしちゃムダに広すぎやせぬか?

…あれ、もしかして、コースターに向いてなくね?前方後円墳…。

いっそ他の古墳の形にしてみようかと悩むも、いやいや、と思い直す。
もし円墳なら確かにコースター向きだが、どう頑張ってもただのマルにしかならない円墳では「コースターがww円墳に見えたのでwwツイートしましたwww」的な自作自演の古墳空目で終わりかねない。ここで妥協してはいけない。あくまで見た目重視をつらぬくのだ。やはりコースターのフォルムは前方後円墳以外にありえないのだ。
最終的に「コースターにも鍋敷きにも食器洗いにも使えるマルチコースターです」という、ものは言いようなアズユーライクの精神で、一心不乱の量産に日々徹した。

やがてカラーバリエーションも増え、15枚ほど出来た10月中旬。世田谷野毛大塚古墳のお祭りで初めてのお披露目となった。

第十五回「年末回想手作業考」

あいにく都合でイベントには参加できず、理事長に販売を委託したものの、なんとなく我が子の初めての遠足を心配する母親のような気分で1日ソワソワして過ごす。…いい子で並んでいるかしらん。誰かの目に止まっているかしらん。あの子たち薄いから風に飛ばされてその度に理事長を全力疾走させてないかしらん。

しかし、その日の夜、なんと理事長から「2枚売れました」という連絡が届いたのである。
カ…ン…ド…ウ…
わーうれしい、わーうれしい。
まるで、アウェイのライブに物販で持ち込んだ自主制作のCDが売れたバンドマンの気分(ほぼ想像)で小躍りする。

その後も、他の皆さんの作品のドサマギに、さまざまなイベントに連れて行ってもらったノンポリ作・前方後円墳型マルチコースターは、細々ながらもどこかの古墳愛好家さんたちに引き取られてゆき、イベントを取材した地方局のテレビ画面にうっかり大写しで映り込むなど、ちゃっかりと古墳グッズの仲間入りをさせていただいて嬉しそうであるのです。

もしも今後、どこぞの古墳イベントなどでうちの子が皆さまのお目に止まった時にはぜひ声をかけてやってください。「あんた、なんにつかうの?」と薄笑いで言われるととても喜びます。

なんだかよくわからない話になったが、これからも混乱しつつゆるっと続いて参りますので、来年も古墳にコーフン協会をなにとぞよろしくお願いいたします。

良いお年を!

第十五回「年末回想手作業考」