第一会員イチキ游子の古墳に混乱コラム

第四十四回「荒天気鳩観光考」

投稿日:2018年6月10日

夏ですネー!

ところで、イチキ家には毎年お正月にバスツアーに参加するというしきたりがある。

参加は自由という名のほぼ強制。毎回のツアーの内容も母親と妹が選出するので長女であるあたくしには何も決定権はない。

しかしなんだかんだ七福神巡りやら皇居の一般参賀やら箱根駅伝やらと毎年様々なバスツアーに連れまわされたおかげで、気づけばそこそこのツアースキル。

最近では、いつか一人ではとバス乗って温泉でも行ってみようかしらん、あ、でも一人じゃ他人と相席になるから友達一人作らなきゃ・・・などと考えるまでには何かが成長していた。

そして、そんなヘタレツーリストあたくしがついに自分の意思ではとバスに乗車する日がやってきた。

ある日のSNSでふと目についた情報。それがこれ

「古墳大好き♪まりこふんと行く!はじめての古墳~千葉県編~」

第四十四回「荒天気鳩観光考」

おおふ、これは灯台デモクラシー。まりこふん会長が自ら古墳ファンのお客様たちと推し古墳を巡るはとバスツアー。ずいぶん前から定期的に開催されていることはもちろん知っており、一度は行ってみたいなあとうすらぼんやり思いつつもなかなか日程が合わずにいたのである。それが今回ぽっかり予定が空いている。秒で予約完了。

4月25日当日、早朝8時10分に浜松町集合。

第四十四回「荒天気鳩観光考」

古墳見学に胸膨らませてニコニコと空を見上げれば・・・うわあい!ガチ大雨!!

これが小学校の運動会の日なら確実に屋上に中止の赤旗が立つ土砂降りの荒天だが、それでもバスは出る。

第四十四回「荒天気鳩観光考」

最初の休憩所「海ほたるパーキングエリア」では、雨合羽を着た高倉健さんが絶叫で叱咤激励する幻覚が見えるほどの大豪雨だったが、バスの中では通常運行でハイテンションな会長が軽快なトークで古墳ソングを歌ってくれたり荒天なんのそのな盛り上がり、ああ楽しいなやっぱり来て良かった。

今回、古墳にコーフン協会の大分支部長・金田氏と、福岡支部長・タニグチ氏も参加されてた。やっぱり知ってる顔を見ると和む。

第四十四回「荒天気鳩観光考」

そうこうするうち千葉県入り。

第四十四回「荒天気鳩観光考」
第四十四回「荒天気鳩観光考」

はじめに長柄横穴群へ。地元ガイドの方の案内のもと切り崩されたような高い山壁に囲まれた壮大な空間へ。

正直あたくしこの横穴というのが未だよくわかってないのだが、荘厳な山壁に無数の穴が空いてそれぞれお墓。普段は見られないところも解錠してくださったとのことで傘さしてみんなで順番に見て回る。内部もなかなか凝っていて、不謹慎だが「まあ素敵なベッドルーム!」と驚嘆したくなる作りのものもあった。

第四十四回「荒天気鳩観光考」

入り口にあるそれぞれの解説ボードを見ていたら、イケメンだけど絵は苦手らしい古代人男子がいてギャップ萌えする。

第四十四回「荒天気鳩観光考」

お昼はレストランでバイキングランチ。

一人参加で一体どこに座ったらいいものか挙動不審になっているところに、大分支部長・金田氏と、福岡支部長・タニグチ氏が相席してくださった。

お久しぶりにお話しするお二方、相変わらずのクールガイ。

ところで私の席の背後の台にはホットプレートと材料が置いてあり、どうやらクレープを自作できるコーナーらしい。

(マジでやる人、いるんだろうか)

と思いつつ、金田氏・タニグチ氏と談笑していたところに突然まりこふん会長がやってきた。そしてホットプレートの前に立つと・・・無言でクレープを焼きはじめた。

第四十四回「荒天気鳩観光考」

マジでやる人ここにいたヨー!!

本日初のクレープ職人を見つめる我々会員たちの視線を物ともせず、クレープ生地と格闘する会長。しかしどうも上手くいかないようで結局カタチにすることを諦め、生クリームとスプレーチョコレートで強引にデコレーションした家庭科の調理実習の失敗作のような謎のスイーツを手に席へ戻っていく会長を見送る頃には雨も小止みになっていた。

午後に訪れたお寺de「はにわ博物館」。なにこれすごい楽しい。多種多様のハニワたちに脳内で「はにキモ」大会が盛大に開催されるも施設内のはにわは撮影できないとのこと。残念だけどアドレナリン大量出土したので大満足。

入り口のハニワを見て「うちのせがれに似てる」と感慨深げにつぶやく大分支部長・金田氏。

第四十四回「荒天気鳩観光考」

いずれにせよ今回はハニワがいっぱい見られて楽しいのであります。

第四十四回「荒天気鳩観光考」
第四十四回「荒天気鳩観光考」

殿塚・姫塚という二つの美しい立派な前方後円墳を見学後、バスの到着を待っていると、道路に沿って謎のハニワが三体並んでいるのに気がついた。

第四十四回「荒天気鳩観光考」

そのうちの一体は背の高い北欧の老人風。足元にタイトルがあるので見るとこうあった。

「ひげの老人・A」

第四十四回「荒天気鳩観光考」

・・・なんか、小学校の演劇台本の役名みたいだな。つか「A」ってなんだ。

「房総のむら」で楽しみにしていた勾玉作り。時間の関係でちょこっと磨くだけだったけどこーゆう地味作業には命かける方です。

第四十四回「荒天気鳩観光考」

その後「龍角寺古墳群」へ。ここすごい、犬も歩けば古墳に当たるほとんど「古墳の屋台村」である。会長も言っていたように「途中であーはいはい、前方後円墳ね、みたいになる」というのがわからんでもない、言ってみれば「ありがたみがないほど古墳があって逆にありがたい」古墳群であった。なんだそりゃ。

そして本日最後の古墳は、龍角寺105号墳(岩屋古墳)と同じく101号墳。

岩屋古墳は立派な方墳、日本で屈指なんだそうな。101号墳は大きくて可愛いUFOみたいな円墳。

第四十四回「荒天気鳩観光考」
第四十四回「荒天気鳩観光考」
第四十四回「荒天気鳩観光考」

朝の大嵐が嘘のような静かな空に、壮大でたおやかな二つの古墳を見上げて今日1日の古墳ダンジョンを思い返す夕刻。

東京へ戻るバスの中ではジャンケン大会。金田氏・タニグチ氏、あたくしの古墳にコーフン協会員3人組は奇跡のような全滅を果たす。これもいい思い出。

最後にまりこふん会長が歌ってくれたあたくしが一番好きな「ハニワのブルース」ではうっかり涙ぐんでしまうセンチメンタル・ノンポリ。

本当に素晴らしき古墳はとバス旅行でございました!

余談だが、帰りの車内で行われた、お客さまアンケートに対するまりこふんの質疑応答コーナー。

「おすすめの古墳は?」「今後のライブの予定は?」などと次々読み上げられる質問と会長の回答を聞きながら、書いたものの結局出せずじまいだったアンケート用紙をこっそりカバンにしまった。

ちなみに、あたくしの質問は

「なぜ、ランチの時にクレープ作りに挑戦しようと思ったのですか?」

であった。

第四十四回「荒天気鳩観光考」