第一会員イチキ游子の古墳に混乱コラム

第二十四回「新刊奈良之古墳考」

投稿日:2015年9月29日

遅ればせながら、夏休みの読書感想文。

9月1日に発売された、まりこふん会長の新刊「奈良の古墳」(淡交社刊)である。

第二十四回「新刊奈良之古墳考」

タイトル通り、奈良県の古墳だけを巡り歩くガイドブックだが、今回もまたヤッテクレマスネ!な全年齢・全人類向けのキャッチーな一冊。

1ページめくるたび、いまやトレードマークとなった美しい古代コスチュームに身を包んだまりこふん会長が、私服の時となんら変わらぬハイテンションで奈良の古墳を飛び回っている。

第二十四回「新刊奈良之古墳考」

奈良県内に一冊の本になるほどたくさんの古墳があるということに今更驚くあたくしことノンポリのノンポリたる所以だが、しかし今回も楽しい。

恒例の古墳の基本形紹介や内部の構造から始まり、さっそく県内の古墳が続々と登場する。
各古墳のキャッチコピーもイカしておりまして、「トレインビュー古墳」だの「古代昼ドラ古墳」だの「上円下方墳界のアイドル」だのと「ちょ、なにそれどーゆこと?」と思わず食いつきたくなるプレゼンの妙。
ちなみにあたくしが行ってみたいと思ったのは「藤ノ木古墳」。ちなみにこの古墳についたキャッチコピーが「BL古墳」。ホラ、「ちょ、なにそれどーゆこと?」ってなるでしょうが?

第二十四回「新刊奈良之古墳考」

もっともらしく背筋を正して古代を解説する気など毛頭ない、実にまりこふんらしいアプローチで、目の前の人に大好きなマブダチを紹介するような、ノリの良さ。
「好き勝手」という言葉が正しいことだと思えてくる心地よい脱力感。

そして、この本の見どころはもう一つある。
アニメ・古墳ギャルのコフィーちゃんの作者であるFROGMAN氏との対談である。
すでに(あたくしよりもすっげー)ご存知の方も多いでしょが、コフィーちゃんとは、擬人化された古墳たちがシュールな会話を繰り広げる、独特の世界観のセンスとユルさで熱烈なファンも多いアニメ作品。

第二十四回「新刊奈良之古墳考」

そして、ほかならぬまりこふん会長が古墳を愛でるきっかけとなった作品でもある。

思えば約4年前。あたくしがまりこふん会長にゲストで呼ばれた、古墳とはなんら関係のないライブの打ち合わせの時の彼女の話題も8割方がコフィーちゃんだった。
初めて2人で飲んだ居酒屋の席で「なぜ古墳が好きなのですか?」と問う、何も知らぬあたくしに対し、コフィーちゃんの素晴らしいユルさとセンスの融合ついて、愛と熱満載のレヴューを繰り広げた輝くようなあの日の会長の瞳をあたくしは、何かよっぽどのことがなければ忘れないだろう。

その作者さんとの対談とは・・・!ノンポリ(勝手に)胸熱であります。

お互いが古墳に興味を持つに至ったエピソードや、他とは(だいぶ)異なる両者の古墳へのマニアックに純粋な愛は、映画や音楽を語るそれに似たカルチャー感すらあり、お互いを突っ込みながらの軽快なやりとりは女性ファッション雑誌の中に掲載されていてもなんら違和感のないポップさで楽しすぎる。

帯にあるFROGMANさんの、
「古墳の聖地奈良にまりこふんを放したら、そりゃこうなるだろう(苦笑)」
「人の墓で何やってんだ知的墳タジーブック」
という推薦文も流石の秀逸センス。

第二十四回「新刊奈良之古墳考」

・・・てなわけで、感想おまとめ。

各ページのポップなレイアウトに縁取られた古墳たちと、楽しげなまりこふんの写真をパラパラ眺めてみて、気に入ったページは隅から隅まで読んでみる。どこからでも楽しめる。そんなホン。
古墳を斜め分かりできてしまうこの本一冊と切符を手に、奈良県へゴーしちゃえる。そんなホン。
ぜひともこれからの季節、古墳好きなヒトも「コフンって?」なヒトも、旅のお供にこの一冊、是非是非ずずいとオススメしたい秋の夜長でございました。