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第一会員イチキ游子の古墳に混乱コラム

第四十一回「高級住宅街古墳冒険考・前篇」

投稿日:2017年7月1日

ある日、まりこふん会長から久々に連絡が来た。

「イチキさん、一緒に温泉行きませんか?祖師ケ谷大蔵に温泉があるんですよ!」

嗚呼、オンセン!なんと甘美な響きか!そーいえば最近身体バキバキだし!温泉のあとと言えばビール!しかも祖師ケ谷大蔵なんてエラい近場とな!
快楽主義者ノンポリ、迷わず「行きます!」と秒返しで返信したところ、行き違いで会長から次のメールが届いた。

「あ、あとね、祖師ケ谷大蔵には古墳もあるんですよ」

・・・しまったーッ!ひっかかったーッ!!

考えてみればただのお出かけのお誘いのはずはない。温泉にビールなら、まりこふんのお出かけに古墳なのだ。そうだったそうだった。
まあ、虎穴に入らずんば虎子を得ず・・・やむを得ぬ。

それに正直、都内のそんな近場に古墳があるなら見てみたい気がしないこともなくなくなくなくもない。

てなわけで、梅雨の晴れ間のある平日、祖師ケ谷大蔵古墳&温泉ツアーが敢行されることになった。

当日の昼過ぎに改札で待ち合わせ。
てっきり祖師ケ谷大蔵駅だと思い込んでいたが、最寄りはおとなり成城学園前駅とのこと。

第四十一回「高級住宅街古墳冒険考・前篇」

どことなくセレブなムードの成城学園前駅の改札で待つことフタをして5分で会長到着。
通常、会長との古墳巡りにはスタートダッシュが肝心なことが多いので、この度も

「イチキさん、おはようございます!さあ、行きましょう!」

というまりこふん戦闘モードのいつもの一言を覚悟して迎えたところ、

「イチキさん、おはようございます!お腹すきました。なんか食べてっていいですか?」

という想定外の一言により、

まさかのさっそく休憩

第四十一回「高級住宅街古墳冒険考・前篇」
第四十一回「高級住宅街古墳冒険考・前篇」

駅前の喫茶店で、20分ほど本日の会議をするでもなく世間話と腹ごしらえをして、今度こそ出発。
目的の古墳は「砧(きぬた)中学校」の中にあるという。古墳巡りで学校の敷地内に入るのは初めてである。

しかし、成城学園といえばセレブと学校が多い街というイメージしかないが、こんなエレガントな街のどこに古墳があるというのだろう。
そんなことを考えながら閑静な住宅街を歩く。

第四十一回「高級住宅街古墳冒険考・前篇」

途中、見たことない粗大ゴミを発見。

第四十一回「高級住宅街古墳冒険考・前篇」

何、何で捨てたの?つかこれ何?何用のなに?
さすがセレブの街・成城学園、と動揺する二人の脇を、自転車に乗ったサーカスの団員のようなオシャレ青年が踊るような華麗なハンドル操作でムード音楽をスピーカーから大音量で流しながら駆け抜けていった。

・・・成城、カオス・・・!

いろんな意味で成城学園のイメージが変わり始めた頃、やっと目的地が見えてきた。
急勾配の階段を息切れしながら登り、砧中学校の通用門に到着。
見学には学校に許可を取る必要があるため、入り口の警備員さんに聞いてみると、校庭の隅の方の一角を指差し
「古墳はあすこだから、今草刈りしてるから、木っ端が当たって危ないかもしれないから、その人に聞いてみてくれるー?」
という、ざっくりとした親切な返答を頂き、さっそく現地へ。
草刈りをしていた男性に見学希望の旨伝えたところ、快諾。

あったあった、「砧中学校古墳群」の4号墳!

第四十一回「高級住宅街古墳冒険考・前篇」
第四十一回「高級住宅街古墳冒険考・前篇」

敷地の半分くらいを覆うようにふんわりと優しくまるで大ト◯ロ(大トロではなく)を思わせる円墳。
敬意を払い墳頂へ登れば眼下に広がる成城ビューも素晴らしく。
地面に腰を下ろすまりこふんにつられてしばし二人でピクニック気分を味わう。

第四十一回「高級住宅街古墳冒険考・前篇」

ああ風がキモチいい、自然と心が緩む癒し系4号墳。頑張って登ってきた甲斐がありました、来て良かったデス、今回も誘ってくれてありがとう会長!
サテ、これから駅に戻っていざ温泉へ・・・!

と、本日のミッション完了を満足し一人頷いたその時、まりこふんSAYED。

「・・・で、これから行く古墳なんですけど」

「えっっ!まだ古墳に行くのですか?!」

あ、しまった。心の叫びがそのまま口をついて出てやんの。いや、だってもう今日これで終わりかと・・・

「何言ってんすか、この中学校の敷地内にもまだあるし、近くにまだこんなにあるんですよ!」

と見せられた古墳マップ。うわあーホントだーいっぱいあるぅー(棒)

第四十一回「高級住宅街古墳冒険考・前篇」

というわけで、通常モードに腹をくくったノンポリ、会長について敷地内にあるという2号墳、3号墳、8号墳と見て回る。

校庭では体育の授業中の女子たちがハードリングに汗を流す脇には3号墳。これは小さくて可愛くてわかり易く古墳。

第四十一回「高級住宅街古墳冒険考・前篇」

「学校の人に怒られるまで行ってみましょう」と食い込んで侵入してみた2号墳と8号墳については「地図上ではここだろう」という目測でよく見ればまあ、なんとなく・・・という程度なのだが、あたくしこの

「古墳・・・かな?」

という地味なスタンスの古墳が結構好きである。もっと言えば「古墳・・・ですかね?」と首をかしげながら検証しているまりこふん会長の姿を見るのが面白かったりしてるのだが。

第四十一回「高級住宅街古墳冒険考・前篇」
第四十一回「高級住宅街古墳冒険考・前篇」

最後に1号墳と思しき古墳を確認。しかし校舎を囲む鉄網の向こうにあるので近づくことは叶わず。それをまるでアメリカ映画の女囚のように鉄網にしがみついてはがゆそうに遠目に見つめるまりこふん会長をさらに見つめながら、教育の場とイニシエの共存を感慨深く思ふ午後。

砧中学校での古墳巡りにひと段落したところで、学校に来た記念にと校庭の鉄棒で果敢に逆上がりに挑んでみたノンポリ、世界に惜しまれることもなく惨敗。すべて引力のせい。

第四十一回「高級住宅街古墳冒険考・前篇」

そんなわけで中学校を出た二人は次なる古墳へ。頑張れノンポリ!温泉がボクを待っている!

・・・たかが日帰りのくせに、まさかの・・・「次回へ続く」

※後篇はこちらです。