第三十八回「年末生誕旅行回想考」

新年明けましておめでとう御座います。
本年も古墳にコーフン協会を何卒ご贔屓によろしうおたの申します。
本コラム、昨年末２回ほどスッ飛ばして久々の更新でございます。言い訳はしない。オトナだから。ホントは舞台があってちょっと忙しかったの・・・あ、言っちゃったッ！

まあ阿呆はさておきである。
「来年の話をすると鬼が笑う」と申しますが、去年の話をした時の鬼の反応はさてどうでせうか。

昨年末、12月24日のクリスマスイブの朝、あたくしとまりこふん会長は新宿駅から高速バスで静岡へ向かっていた。
目的地は、協会のイベントでもすでにおなじみ、伊豆修善寺にある地獄のテーマパーク「伊豆極楽苑」である。
まりこふん会長の誕生日でもあるこの日のあたくしどものミッションは、「昨年発売された伊豆極楽苑の公式Tシャツを買いに行く」こと。
わざわざ高速バスに乗ってTシャツを買いに行くのは初めてだったが、まあ早い話が忘年会を兼ねた慰安旅行である。

快晴の空の下、鮮やかにそびえる富士山を「良いフジサンぶりですな」と清々しい気持ちで眺め、来年の企画の相談したり銀魂の話したり枝毛の本数を数えたりしながら昼頃に修善寺駅へ着到。
地元バスで極楽苑へ向かう前に軽い昼食を、と駅の中の食堂で一休み。実はこの12月24日の伊豆旅行は3年前にも一度開催したことがあるのだが、その時に比べて修善寺駅が格段にリニューアルされていた。

改装されてもなお相変わらずのメニューの食堂で、とても美味しくてびっくりするほどフツーの「三島コロッケ」をもぞもぞ食べながら、ふとあたくし、バスに乗っていた時から一つだけ気になっていたことを思い切って聞いてみた。

「あの、会長。きょ、今日も・・・や、今日は、やはりその・・・古墳には行くのですか・・・？」

いや、普段なら古墳を巡るのは楽しいしやぶさかでないのだが、今日だけはなんというか、あんまり冒険なしのノーマルでクールなバケーションを楽しみたい、なー、なんて。
そんな揺れる乙女心を持て余すあたくしを、会長は驚いたような顔をして見た。そして言った。

「ああ！！そーいえばそうですねぇ！！」

しまターーーーッ！！気づいてなかターーーー！！眠れる獅子起こしターーーーーッッッ！！！

藪から爬虫類をつつき出した己のオウンゴールに呆然とするあたくしを尻目に、即座に携帯を取り出し修善寺近辺の古墳を検索し始める会長。
しかし数分後、がっかりしたようなため息をつくと、

「この辺に手頃な古墳はないみたいです・・・」

と携帯をしまった。
あまりに残念そうな会長の顔を見ていたら、それはそれで寂しいような気がし始める、現金に揺れる乙女心。

てな訳で、古墳にコーフン協会として妥協と相談を重ねた結果、今回は

「古墳空目を探す旅」

で行くことに決定。なんだそりゃ。

食後、修善寺駅の裏庭のフリーマーケットをプラプラしていたら、喫煙所で第一の古墳空目発見。

上円下方墳。まあ及第点。

ところで、その裏庭の地面が綺麗にコーティングされている様子が何かに似てるなと考えていたら、一昨年に会長と古墳を巡る取材旅で訪れた山梨県で見たアレだと思い出した。

「あん時に見た周溝墓みたいですね」

素直に感想を述べたあたくしを会長は、まるで初めて逆上がりが出来た小学生の娘を見る親のような目で見つめると、

「イチキさん、『シューコーボ』が普通に出てくるなんて、もう完全に古墳のヒトですねー！！」

と嬉しそうに言った。

しまターーーッ！ノンポリ会員大ピンチーーーッッ！！！

・・・まぁ、さておき。

修善寺駅を後にしてバスに乗り、一路極楽苑へ。
5月の開苑30周年イベント以来、約半年ぶりの極楽苑は相変わらず素晴らしい地獄ぶりでございました。

前回のイベントでは時間がなくて体験できなかった地獄めぐりをがっつり客として堪能。

改めて己の落ちる資格のある地獄がいっぱいあることに愕然とする。

閻魔大王さまの前では懺悔台と懺悔帳があり、思うところがありすぎてなかなか懺悔が終わらない業深きノンポリ。
ホントにね、この世にいる間にみんなここ行ったほうがいいヨ。コワクナイヨー！！

見学後、相変わらずほのぼのとした館長と奥様とゆっくりお話させていただき、この日のミッションであった公式Tシャツも手に入れて極楽苑を後にする。

それからネー、温泉行ってネー、熱海で美味しいお魚とお酒飲んでネー・・・

伊豆旅行を満喫した会長とあたくし、帰りの電車の中で今日1日を振り返りながら、多分同じことを考えていた。

（・・・古墳空目、探すの忘れてた・・・）

本年もよろしくお願いします！！！