第一会員イチキ游子の古墳に混乱コラム

第二十五回「我古墳妄想計画考」

投稿日:2015年10月22日

秋です。古墳めぐりの季節であります。
普段ならここらでいっぱつ近場の古墳に1人旅に出るところなのだが、なかなかその時間がない。悲しいことです。

そんな昨今、秋のサンチマンタリズムな物思いに耽るたび、おのれの老後やその先のことを考えるようになった。

正直まだ、エンディングノートとデスノートの区別もあまりついていないが、人として、そろそろ自分がどういう風に最期を迎えたいかくらい考えておいても無駄ではなかろう。

ちょいと調べてみると世の中は色んなお弔いの仕方があるらしい。
風葬、水葬、樹木葬、その他もろもろ葬・・・

色んなお墓の形があるのネー、お墓大事よネー、お墓・・・。
あ、「古墳葬」は?
そんなことを考えるあたりあたくしもそうとう協会に毒され、いや影響を受けているらしい。
しかし、自分の好きな形の古墳を好きなところに作って好きなモノに囲まれて眠るとは、なんて素敵なリアルジャパネスク!!
はるか古代からだいぶブランクあるリバイバルではあるが、古墳葬、流行るんじゃね?
合言葉は「マイ古墳」。
キタコレ、よし、決めた。あたくし古墳葬で逝く!!

第二十五回「我古墳妄想計画考」

よくわからん妄想突入のまま、さっそくどんな古墳にしようか思いを巡らしてみる。
古墳といえばやはり仁徳天皇陵が浮かぶが、もちろん、古墳葬を望む全ての人があんな大規模なものを用意できるはずもなく、仮に一部のお金持ちがおたわむれにそんなことをしようものなら、瞬殺でニッポン総土地不足である。

小っちゃくてもいい、いや、むしろ小っちゃいほうがいい。ただ、自己満足であれ!

マイ古墳プラン発動。

設置場所は横浜の実家の裏山が良い。ただし自治会長にダメって言われたら実家の庭。

次にどんな形にするか。これ大事。
前方後円墳をはじめとして、現存する古墳の形には数種のパターンがある。あれらが当時流行だったのかなんかのシバリだったのか、ノンポリのあたくしの知るところではない。しかし、時は平成、とらわれず自由にやったらいいではないか。
そんじゃ星型が良い。理由は特にない。かわいいから。星型が好きだから。池袋にあるグラスから氷までなんでも星型のミル◯ーウェイって喫茶店に学生の頃よく行ってたから。

命名「五角お星様古墳」。頭悪そうだなオイ。まあよしとする。

五角お星様古墳は星型なので俯瞰すると当然周囲5ヶ所の突起部分がある。未来の研究者たちはあたくしが眠るお星様古墳の5つの突起を見て「どれが本物の造り出しだ」ということで後世長きにわたって論争になるのだが、実はどれも造り出しのカモフラではなく(意味ねえし)、実はこれら5個の室は内部が収納庫になっているのである。収納される内容はそれぞれ、

1室目「好きな本とマンガ」
2室目「大好きなサバの缶詰」
3室目「飼ってる金魚が住む水槽」
4室目「生前書き散らかした恥ずかしい小説とか台本の原稿(ここだけ完全密閉)」
5室目「あたくし」

である。5室目については、本来なら埋葬される本人であるあたくしは真ん中のスペースで堂々と眠れば良いのだが、どうも貧乏性のため部屋の真ん中は落ち着かないので、あたくしは奥へ引っ込んで、中央部分は見学者たちの憩いのサロンにしようと思うのである。

第二十五回「我古墳妄想計画考」

そして古墳の上にはタンポポを大量に植えて黄色いお星様の完成である!

よしできた!見よ、この見学者たちにまで気配りを忘れない美しき完璧な埋葬施設・五角お星様古墳・・・!!

しかし、そこでまさかの賢者タイムがおとずれた。

・・・オイ待て自分。

副葬品、マンガはともかくサバ缶てなんだよ、非常食か。つか、金魚連れ込んで誰が世話すんだよ。もうこれお墓じゃなくて完全に理想のお部屋じゃねえか。しかもお星様型って、よく考えたら微妙かも・・・

(ちょっと、ちがったナ・・・!)

さんざん盛り上がったのちふと冷静になって、もう一度「自分が入りたい古墳」を考えなおした結果、こんなふうに思った。

「やっぱ、ふつーに鍵穴のカタチが…いいなあ…」

古墳葬はあきらめないが、星になるまえにおのれのセンスを磨き直す必要があると再認識した秋の日。手はじめに近々モデルルーム(どっか古墳)に行ってみようと思う。

第二十五回「我古墳妄想計画考」